保育実践力を育む授業
~ 附属幼稚園との交流を生かして ~

楽しみながら活動しているうちに、いつの間にか色々なことに興味が持てるようになっていた、知っていることやできることが増えていた・・・子ども達にこのような体験をしてもらうことは、保育の大きな柱です。学内での講義、演習、学外での実習を通してその実現の為に必要な力を培っていく学生達に、本学では様々な学びの機会をつくっています。例えば、本学には附属幼稚園、附属認定こども園があり、また老人福祉施設が同じ敷地内にあることから、附属園の園児の皆さんや施設の利用者の方々との交流を生かして、学生達に実習とは異なった視野で、現況の多様性を学んでもらう授業も実施しています。

今回は、そのような授業のひとつである「子どもの生活と文化Ⅲ」という授業を紹介します。この授業は、附属鈴川幼稚園の園児の皆さんに本学に遊びに来てもらい、初めて本学を訪れる園児の皆さんが短大という場所だからこそ体験できる活動を、学生達が立案、準備、実践する、というものです。2年次の後期に開講され、学生は複数人のグループごとに1クラスを担当します。グループでの取り組みにより、学生達はお互いの意思疎通や担当業務に対する責任の大切さを再認識していきます。また、園外保育時の留意点、グループで実施する保育だからこそ準備できる保育教材の多様性等をも学ぶ機会となっています。そして何より、遊びに来てくれる園児の皆さんが少しでも楽しいと思ってくれることに、やりがいや楽しさを感じられる授業です。

平成29年度には、短大の設備に興味を持ちながら友だちと協力して課題解決をする達成感を味わうことを目的とする保育活動「神様からのミッションに挑戦しよう」、幼児がアンパンマンの役になりきり友だちと協力して学校をきれいにする楽しさを味わえることを目的とした保育活動「君も今日からアンパンマン」を実施しました。園児の皆さんは、講堂の平均台を渡るといった「神様からのミッション」を友だちと応援し合いながら達成したり、アンパンマンの役になりきって友だちと協力しながら学校をきれいにするための活動に取り組んだりしました。

どちらの活動でも、園児の皆さんは一人一人が頑張るだけでなく、友だちの挑戦への応援もしながら生き生きと活動を行っていました。最後に、しっかりやり遂げた満足感を笑顔で表現してくれた園児の皆さん。そして、その姿を見た嬉しさから笑顔を浮かべる学生達。双方にとって、一生懸命取り組むことの大切さを感じられる機会になったのではないかと思います。

学生達からは、次のような振り返りがありました。「様々な意見があり、それをひとつの活動にして構成することが難しかった。しかし、他の人の違う視点からの意見を聞き、考え方が変わったり納得できたりして勉強になった。」「自分では考えつかないような意見が出て楽しかった。」「子ども達にとっては初めて来る場所なので、安全面など様々な面から細かく考えて立案する必要性を改めて感じた。」「短大のことを知ってもらいつつ子ども達に楽しんで過ごしてもらうために、どのようなねらいを立て、何をどのように実践するかを考えることは難しかったが、実際の子ども達の反応から、事前準備の良かった点と足りなかった点の両面を学ぶことができた。今回の課題をこれからの保育に生かしていきたい。」

附属幼稚園との交流を生かしながら、今後も学生の保育実践力の向上に努めていきたいと思います。